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教会の言葉

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10月のメッセージ
2020-11-13
『生きて働く神の声に従う』   
                 牧師 藤田浩喜
「神は命じられた。『あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに登り、彼を焼き尽くす献げ物としてささげなさい。』」  
(創世記22章2節) 
 
この箇所は、アブラハムが独り子イサクをささげようとした有名な箇所です。有名であると同時に、理解するのが難しい箇所です。アブラハムは長い間待ち続けて与えられた約束の子イサクをどうして献げようとしたのでしょう。また、旧約の他の箇所では、神は人心御供を禁じています。それなのに神はどうして、「あなたの子孫を天の星のように、海辺の砂のようにしよう」(17節)という約束を無効にしてしまうような命令をなさったのでしょうか。今日の箇所ではアブラハムがイサクをどんな気持ちで献げようとしたかは記されていません。きわめて淡々と感覚を持たない人間のように行動しているように見えます。しかし、アブラハムは何の迷いもなくそうしたのではなく、何も考えられない状態にあったのではないでしょうか。大切な独り息子を失ってしまうという恐怖は当然です。それと同時に、主なる神がご自分でなされた約束をどうして破ろうとなさるのか、それはいくら考えてもわからないことだったのではないでしょうか。しかし私たちが考慮しなくてはならないのは、創世記12章の召命から40年以上の歳月が経っているということです。今やアブラハムは99歳でしたが、その間アブラハムの長い信仰生活があったのです。彼も人間的な弱さのゆえに、何度も失敗をしました。しかしそれにも拘わらず、神はアブラハムを決して見捨てることなく、神の真実は変わることがありませんでした。イサクを通して彼の子孫を星や砂のように増やすという約束がどうなるのか、彼は思考停止に陥りましたが、彼は神のかつての約束ではなく、今も生きて働きかけられる神ご自身に信頼して、従おうとしたのではないでしょうか。それが、揺るぎない信仰を確立するための、神の最後の試みだったのです。私たちも、かつて示された御心やご計画が変更を迫られるということがあるでしょう。しかしそこで大切なのは、今も生きて働く神の御声を聴き取り、従うということです。そのことは葛藤を伴います。しかし、その試みを通して、私たちはさらに深いご計画へと導かれるのです。(2020年10月)

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