教会の言葉トップページ > メッセージ > 教会の言葉バックナンバー 一覧へ戻る11月のメッセージ2020-12-2311月メッセージ 『「すべて」と「ひとり」』 牧師 藤田浩喜 「神は、すべての人々が救われて真理を知るようになることを望んでおられます。神は唯一であり、神と人との間の仲介者も、人であるキリスト・イエスただおひとりなのです。この方はすべての人の贖いとして御自身を献げられました。」 (テモテへの手紙一2章4~6節) この箇所では、救いの対象が「すべての人々」であるのに対して、神=キリスト・イエスが「おひとり」であり、「唯一」であることが強調されています。旧約聖書以来、滅びからの救いが少数者によって実現されるという考え方が、聖書にあります。たとえば、ソドムとゴモラをその悪のゆえに主なる神が滅ぼそうとした時、アブラハムは神さまにソドムとゴモラのために執り成しをしました。ソドムとゴモラに50人の正しい人がいれば滅ぼさないとの確約を得ました。(創世記18:22以下)。そしてこのことは、新約聖書におけるイエス・キリストの救いにつながっていきます。父なる神は真の人となった御子イエス・キリストのゆえに、すべての人間に罪と死からの救いを与えてくださったのです。キリスト・イエス「ただおひとり」が十字架に御自身を捧げてくださったゆえに、その救いは「すべて」の人々に及ぶようになりました。もはやユダヤ人も異邦人も、富んだ者も貧しい者も、男も女もすべての垣根を超えて、信じるすべての人々に救いが及ぶようになったのです。この御子イエス・キリストおひとり以外に神さまと人との仲立ちをしてくださるお方はいません。使徒言行録4章12節でペテロは、「ほかのだれによっても、救いは得られません。わたしたちが救われるべき名は、天下にこの名のほか、人間には与えられていないのです。」と言っています。だれもイエス・キリストを信じることなしに、救いを得ることはできません。しかし、この「ただおひとり」お方の救いは、すべての垣根、あらゆる違いを乗り越えて、信じる「すべての人」に開かれています。この救いが及ばない領域は、この世界のどこにもありません。だからこそ「ひとり」が「すべて」に及んでいくのです。そして、そのくすしき恵みを世に向かって証ししていく者が、宣教者、使徒、教師として召されたパウロなのであり、今日の私たちキリスト者なのです。テモテへの手紙一がこの2章で強調している「すべて」と「ただひとり」の深いつながりを心でかみしめながら、伝道の業に励みたいものだと思います。(2020年11月)