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教会の言葉

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4月のメッセージ
2014-05-19
盲人ホーム 越岡ふみ姉の墓参での奨励               
              
              西宮中央教会 牧師 藤田浩喜
今日は4月3日です。今年も桜が満開できれいです。昨日ある文章を読んでいましたら、「『関西盲人ホーム』の始まりは、1930年4月8日に越岡ふみ先生が、ご自宅で「光栄ばり」をはじめたことからである」と書いてありました。ですから、4月のこの時期に越岡ふみ先生のお墓参りをすることは、とてもふさわしいことだと思います。ちなみに4月8日に「光栄ばり」が始まりましたが、その年の9月に、各地から集まった幾十名の盲女子のホームとして関西盲女子ホーム「望之家(のそみのいえ)」が発足します。そして、翌年の5月に中村京太郎先生を代表に迎え、越岡先生は主事となり、盲婦人ホームとしての組織が整います。そして1938年(昭和13年)9月に、社会事業法による「関西盲人ホーム」として届けが出され、公的な承認も得て、その歩みを始めたとのことです。それから、戦争やたくさんの困難な出来事があったと思いますが、関西盲人ホームは80数年もの間、神さまの導きとたくさんの方々のご奉仕に支えられて、今まで歩んで来られたのでした。今、キリスト教会は、レント(受難節)という時期を過ごしています。この時期クリスチャンは、イエス・キリストが苦難と十字架の道を歩まれたことを思い起こしながら、おごそかな気持ちで毎日を過ごします。その場合とても大切なことは、イエス・キリストが私たち一人一人を救うために、苦難と十字架の道を歩まれたということです。自分が何か大きなことを成し遂げるために、大変な苦労をするということなあるでしょう。あるいは自分が仕出かした大きな失敗をつぐなうために、大変な困難を強いられるということもあるでしょう。しかしイエス・キリストは、ご自分のためではなく私たちのために、私たちを罪の苦しみから救うために、十字架への道を歩まれたのです。皆さんもよくご存じの聖書の御言葉に、次のような御言葉があります。マタイによる福音書11章28節以下の御言葉です。「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛(くびき)を負い、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。」軛というのは、牛などが重い荷物を引っぱったり、田畑を耕すときに、二頭の牛を首のところでつなぐ道具です。軛でつながれることによって、二頭の牛は効率よく荷物を引っぱったり、鋤を引くことができます。二頭で引くので、一頭で引くよりもずいぶん楽に引くことができるのです。それと同じように、イエス・キリストは、私たちが負わなくてはならない人生の重荷や苦しみを、一緒に負って歩んでくださいます。本来自分一人で引っぱっていかなくてはならない重荷や苦しみを、私たちの何倍もの力で主イエスが引っぱっていてくださいます。私たちはイエス・キリストが一緒にいてくださるので、心から安心して、自分の人生の荷を担っていくことができるのです。誰にとっても自分の人生を担っていくことは容易ではありませんが、そこには安らぎがあり、主の与えてくださり平安があるのです。先ほどご紹介した文章ですが、その中に「関西盲婦人ホーム」が誕生するにあたって、中村京太郎先生や越岡ふみ先生たちが、どういう思いでホーム設立を決断したかということが、記されていました。「当時、視覚障害を持つ女性たちは、現代では想像もできない厳しい境遇に置かれていました。そのような状況を、もはや放っておくことはできない。あれやこれやと、評論家のように議論しているだけではダメだ。手近なところからできることを一つ一つ解決していかなくてはならない。ご都合主義でなく、たとえ困難なことがあろうとも、盲女子の立場に立って、一番必要なことから始めましょうということで、意見が一致して、ささやかなスタートを切ったのが、ホーム設立とそこでの職業指導と保護であった。」そんなふうに、当時の様子を記しているのです。ここには、中村先生や越岡ふみ先生たちが熱心に語り合った、その時の肉声が聞こえてくるように思えます。そして、ここには、自分の人生だけでなく、困難を負った他者と軛を共にし、その労苦を少しでも一緒に担おうとする人たちの思いが、熱くほとばしり出ているように思うのです。関西盲人ホームの80余年の歩みの土台には、私たちの人生の重荷を負ってくださるために、苦難と十字架の道を歩まれたイエス・キリストの愛がありました。そして、そのキリストの愛に触発された多くの方々が、自分の重荷だけでなく、他者の重荷をも担っていこうという決意とご奉仕によって、このホームを支えて来てくださったのだと思います。これからも、そのことは変わらないと思いますし、変えてはいけないのではないかと思います。関西盲人ホームを支えて来てくださった多くの先輩たちを覚え、その働きに心から感謝しながら、新しい年度の歩みへと踏み出して行きたいと思います。《4月3日(木)仁川の教会墓地にて》 
                          (2014年4月)    

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