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教会の言葉

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3月のメッセージ
2017-04-14
愛のあるところ真理あり  
 
 「イエスは、御自分を信じたユダヤ人たちに言われた。
『わたしの言葉にとどまるならば、あなたたちは本当に
わたしの弟子である。あなたたちは真理を知り、
真理はあなたたちを自由にする。』」
(ヨハネによる福音書8章31~32節)  牧師  藤田浩喜
 
 ポスト・トゥルース(Post-truth)という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。オックスフォード辞書によると、「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」と説明されます。米国のトランプ大統領は、ツイッターを通して事実に基づかない批判によって他国やマスコミを攻撃し、事実とはかけ離れた幻想を振りまくことによって彼の支持者たちの感情に訴えています。前者は例えば、日本は米国に不当な関税を課して貿易を有利に進めているという批判であり、後者はメキシコとの国境に巨大な壁を造り、メキシコからの不法移民を阻止し、それによって国内の雇用を守るというようなことです。それらは、事実に基づいたものでもありませんし、現実的でもありません。しかし、「そんなことはどうでもいい、自分たちの思いをすくい取ってくれるような言葉かどうかが大事なんだ」と、多くの人たちが考えるようになっているのです。日本の首相も「息を吐くように嘘をつく」と批判されましたが、さほど支持率が下がってはいません。その意味では日本においても、事柄の真偽よりも、語られる言葉がどれだけ人の感情に訴えるかが今や重要視されているのでしょう。佐伯啓思という学者は、そもそも古代以来、民主主義にはそういう危うさがついて回るのだと、鋭い指摘をしています。冒頭の聖句は大変有名な聖句ですが、人が真理を知るためには、主イエスの御言葉にとどまらなくてはならないと言います。その御言葉とは何は、ある注釈者は(1)「イエスは神と等しい」という信仰告白にとどまること。(2)ヨハネ13章34~35節だと言います。それは「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、皆が知るようになる」との御言葉です。御子の愛を知る者として互いに愛し合うことが、真理(truth)を知るということと分かち難く結びついているのです。民主主義も愛を失うなら、単なる権利主張やエゴイズムに墜してしまうでしょう。差別や分断を煽るような民主主義は、結局の所、不正をはびこらせ、自分を罪に縛り付けてしまいます。私たちを自由へと解き放つ真理を、希求したいと思います。 
(2017年3月)

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