教会の言葉
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4月のメッセージ
2017-05-19
十字架と復活の主を告白する
「口でイエスは主であると公に言い表し、心で神がイエスを死者から復活させたと信じるなら、あなたは救われるからです。実に、人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われるのです。」
(ローマの信徒への手紙10章9~10節)
牧師 藤田浩喜
ルカス・クラーナハ展を、先日中之島の国立国際美術館で観てきました。クラーナハ(父、1472~1553年)は、ヴィッテンベルクの宮廷画家として名を馳せた、ドイツ・ルネサンスを代表する芸術家です。彼はマルティン・ルターに始まる宗教改革にきわめて深く関与した人であり、ルターの肖像画もたくさん遺しています。世界史の教科書に登場するルターの肖像画はもちろん、後代に描かれたルターの肖像画はほとんどすべて、クラーナハの絵を基にしているそうです。いろんな魅力に満ちた絵を描く人ですが、今回個人的に興味を抱いたのは次の二枚の絵でした。一枚は《子どもたちを祝福するキリスト》という絵です。この絵の中心にはやさしげなキリストが赤ん坊を抱いて立っています。その周囲を赤ん坊を抱いた若いお母さんが取り囲んでいます。母親たちはわれ先に我が子を主イエスに祝福してもらおうと、主めがけて子どもを差し向けているのです。そして、お母さんの衣服にまとわりつくように赤ちゃんびお兄ちゃん、お姉ちゃんがいるのです。この絵は解説によれば幼子を信仰の模範とした作品であり、宗教改革の精神を後押しする目的でよく描かれたそうです。宗教改革のモットーは、業による義ではなく、信仰による義でした。信仰のみによって救われるというルターの信仰義認論にとって、幼子が母に寄せる全幅の信頼は、信仰者の模範そのものでした。クラーナハは、彼の画業によって宗教改革を援護射撃したのです。今年2017年は宗教改革からちょうど500年を迎えますので大変興味深くこの絵を観ることができました。もう一枚の絵は、《幼児キリストを礼拝する幼き洗礼者聖ヨハネ》という絵です。まだ1歳ぐらいの主イエスがマリアの腕に抱かれています。するとその左の方にいる同じ1歳ぐらいの洗礼者ヨハネが、主イエスに赤い小さなリンゴを差し出しているのです。解説によると、このリンゴは人間の原罪を表しています。主イエスは人間の罪というリンゴを受け取ろうとしています。それによって、主イエスが人間の罪を引き受け、その身に負われようとしていることを表現しているのです。私たちの罪えを十字架の死によって贖われ、復活によって私たちを永遠の命へと導き入れてくださったお方を私たちは心から告白したいと思います。(2017年4月