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教会の言葉

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6月のメッセージ
2017-07-14
受け容れるという成熟
 「『さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。』律法の専門家は言った『その人を助けた人です。』そこで、イエスは言われた。『行って、あなたも同じようにしなさい』」。
 (ルカ福音書10章36~37節)    牧師  藤田浩喜
 あるアメリカの研究者によると、男性の引退後の適応は次の5つに分類できるそうです。①成熟型:自分の人生に充実感を感じ、自分自身の現在と過去を受容している人。②安楽椅子型:悠々自適の生活をするタイプ。③武装型:老いを人に見せまいとし、自分自身も認めない。防衛的になる。④立腹型:老いを受容することができず、他人を批判したりする。⑤自己嫌悪型:自分の人生は敗北で、すべて悲観的になる。加齢に伴う自分の姿を受け容れていくことの難しさを思わされます。私たちは歳をとると、もはや成長することはできません。しかし成熟していくことはできます。自分の現在と過去を受け容れ、今の自分を認め、肯定してあげることはできるのです。冒頭に揚げた聖書は、有名な「善きサマリア人のたとえ」の結末の部分です。このたとえは、主イエスが隣人とは誰かという律法学者の問いに対して、追いはぎに襲われ傷ついたユダヤ人が、善いサマリア人の隣人になったこと教えられます。つまり、隣人とは同胞のユダヤ人というように最初から決まった存在ではまくて、あなたが愛し助けた人が、あなたの隣人となるのだと言われたのです。この主イエスの教えは、追いはぎに襲われ、サマリア人に介抱されたユダヤ人の視点からも読み直すことができるでしょう。ユダヤ人とサマリア人は犬猿の仲でした。普通なら、差し伸べられた手を払いのけていたに違いありません。しかし追いはぎに襲われ、半死半生の状態にあったこの人は、サマリア人の愛と憐れみを受け容れ、大いなる感謝をもって自分の身を委ねたに違いないのです。このユダヤ人は愛を受け取ることによって、サマリア人の隣人となったのです。加齢によって私たちは、いろんな形で人からの援助や介護を受けなくてはなりません。その必要性を頭では分かっていても、助けられることを受け容れることは、そう簡単ではありません。でも、私たちを見守ってくれる家族、介護をしてくれる施設職員の方たちが差し伸べてくれた手を感謝と共に受け容れることによって、その人たちを愛し支えることができるのです。主の愛に励まされ、そのような成熟をめざしたいと思います。
(2017年6月)

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