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教会の言葉

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12月のメッセージ
2014-01-17

神による逆転
               
             西宮中央教会 牧師 藤田浩喜
 「主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、権力ある者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げ、飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のまま追い返されます。    (ルカによる福音書1章51章〜53節)  
この聖句は、「マリアの賛歌」(マグニフィカート)と呼ばれています。今、幼稚園では15日(日)のクリスマス讃美礼拝に向けて、ページェントの練習が行われています。天使ガブリエルがマリアに「受胎告知」をするのですが、マリアはひどく困惑しつつも、救い主の母となることを受け入れます。そして、そのマリアがソロで歌うのが、この「マリア賛歌」の一節なのです。緊張しつつもまっすぐに前を見て、マリア役の年長さんの女の子が、歌い出します。聞いている私たちも、その一瞬を固唾を飲んで見守ります。ページェント前半のハイライトともいうべき名場面です。この「マリアの賛歌」ですが、そこで歌い上げられているのは、「神による逆転」の思想ともいうべきものです。神は「権力ある者をその座から引き降ろし、身分の低い者を高く上げられる」、「飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のままで追い返される」。それは、私たちが見聞きするこの世の現実とはあまりにもかけ離れています。しかしマリアは、取るに足らない自分をも顧みてくださり、神の御業に接した時、この世の現実をひっくり返される神をほめ讃えずににはおれなかったのです。わたしに起こったこの逆転は、この世界にも起こり得るのだと彼女は信じることができたし、その信仰が賛歌となって唇から溢れ出したのです。去る12月6日(金)大きな危惧と不安の中で「特定秘密保護法案」が参議院でも可決されました。2日(月)に大阪弁護士会主催の「特定秘密保護法案成立阻止」のデモ行進に参加し、廃案への一縷の望みを抱いていたのですが、その望みは打ち砕かれました。「日本という国が、これから悪い方向に行かなければよいが・・・」という不安が心から離れません。ところが、この6日(金)に報ぜられたもう一つの大きなニュースは、元南アフリカ共和国大統領ネルソン・マンデラ氏の死去でした。アパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃のために、30年近くもの投獄生活を乗り越えて75歳で大統領になり、和解を土台とした驚くべき仕方でそれを成し遂げたこの人物の偉大な足跡を、私たちはあらためて知らされ顧みることができたのでした。わたしに起こったこの逆転は、この世界にも起こるのだというのが、マリアの信仰でした。神による逆転は、私たちの時代にも起こることを信じて歩みたいと思います。(2013年12月)

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