教会の言葉
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11月のメッセージ
2015-12-25
『教会創立90周年を迎えて』
牧師 藤田 浩喜
「そして、あなたが抱いている純真な信仰を思い起こしています。その信仰が、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿りましたが、それがあなたにも宿っていると、わたしは確信しています。」(テモテへの手紙二1章5節)
教会創立90周年を迎え、記念音楽祭ならびに作品展、記念礼拝、そして90周年誌発行など、一連の行事を無事に行うことができ大きな感謝を覚えています。神さまのよき導きと教会員の皆さんのご奉仕に、衷心より感謝を申し上げたいと思います。前回『西宮中央教会60年史』を発行して、30年が経過しました。あと10年で当協会の歴史は100年を迎えます。10年後西宮中央教会は、どのような教会として歩んでいるのだろうか?100周年を喜ばしく迎えられているだろうか?不安と心もとなさの中で、10年後を案じておられる教会員の方も多いと思います。受洗者や信仰告白者、入会者が死去者にまったく追いつかない一途をたどっている現実は、日本キリスト教会全般のみならず、私たちの教会の現実です。しかしそれだからこそ、伝道と教会形成の業が、人の業ではなく神の業であることを覚えたいと思うのです。教会の将来は人間の統計的予測の内にあるのではなく、イエス・キリストによって示された神さまの約束の内にあるのです。冒頭の聖書箇所は、迫害の圧迫の中で伝道を続けているテモテに、使徒パウロが送った励ましの手紙です。テモテは逆風の中で伝道をし、パウロは伝道のゆえに獄に囚われています。テモテもパウロも、福音のために大変な苦しみを忍んでいます。しかし神さまは、イエス・キリストを私たちのもとに遣わし、救いを成し遂げてくださいました。「死を滅ぼし、福音を通して不滅の命を表してくださいました」(10節)。しかもそのような救いを私たちの行いによるのではなく、ご自身の計画と恵みとして成し遂げてくださったのです。人間を救う神さまの計画と恵みは、それが神さまの約束である以上、妨げられることはありません。人間の統計的予想も悲観的な見通しも、それを妨げることはできないのです。私たちがなすべきことは、神さまが主イエスにあって委託してくださっていることをどこまでも果たし切ることです。パウロはそのことを、「あなたにゆだねられている良いものを、わたしたちの内に住まわれる聖霊によって守りなさい」(14節)と言っています。私たちに手渡されたいのちの福音を、精一杯満ち運んでいく。そこに教会の将来が開かれていくのです。(2015年11月)