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教会の言葉

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3月のメッセージ
2014-04-21

東日本大震災から三年
               
             
西宮中央教会 牧師 藤田浩喜
 「わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。
  わたしが与える水はその人の内で泉となり、
  永遠の命に至る水がわき出る」
    (ヨハネによる福音書4章14節)  

宝塚売布教会が無牧であった時、日本基督教団の引退牧師であった似田兼司先生が毎月一回説教の応援に来てくださいました。その似田先生は、今、日本基督教団福島教会の牧師として、ご奉仕なさっています。福島教会は似田先生が高校生まで通われた母教会でした。この教会は歴史のあるレンガ造りの美しい教会でしたが、3年前の東日本大震災に遭い、会堂を取り壊さざるをえませんでした。それだけでなく、福島第一原発の事故による放射能の線量への心配から、子どものいる世代の牧師が赴任することが困難になりました。そこで似田先生ご夫妻は、母教会の窮状を見かねて、50年ぶりに牧師として赴任する決意をしたのでした。福島の大きな苦しみの一つは、放射能の線量に対して、その人の置かれた状況によって考え方が違う点です。放射能の影響を心配して県外に移住すべきだと主張する人もあれば、その地を離れることもできず放射能の影響を考えないようにして生活している人もいます。そこには対立や緊張関係があり、同じ福島の人でありながら分断状況が続いているのです。福島教会の中でも放射能に対する考え方の違いは歴然としていたと言います。不用意にどちらか一方の意見に与るわけにもいかず、発言には細心の注意を払っていた。正直、帰ろうかなと思ったこともあったそうです。しかし、この地には主を信じる群れがおり、それにもかかわらず会堂は無く、隣接する伝道館での礼拝が続いていました。そこで似田先生は、新しい会堂を建設しようとのヴィジョンを与えられ、2年余の歳月をかけて会堂建築に取り組まれました。今年の11月には新会堂が完成する運びになったのです。以前、西宮中央教会に来てくださった越川弘英先生が、「ワタシの礼拝論」というエッセイの中で、次のようなことを述べておられます。「私たちが守っている礼拝の中には、今回の大震災のような破局的な事態に直面したとき、そこから目をそらすことなく、それを受け止め、それに立ち向かうという力が本来的に備わっているのだ」。また別の所では「そのような破局に直面するとき、力強く、はっきりと包括的なかたちで、私たちを守り、励まし、支え、”立て直す”営みこそ、礼拝なのだ」と仰るのです。福島教会にそのような新しい礼拝の場が与えられることを、心から喜びたいと思います。(2014年3月)
(2014年3月)

日本キリスト教会
西宮中央教会

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