教会の言葉
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7月のメッセージ
2016-08-19
愛は労を惜しまない
牧師 藤田浩喜
「『さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。』律法の専門家は言った。『その人を助けた人です。』そこで、イエスは言われた。『行って、あなたも同じようにしなさい。』」(ルカ福音書10章36~37節)
6月21日(火)近畿中会婦人部修養会が名古屋駅近くの「ウインクあいち」であり、9人の婦人たちと参加しました。開会礼拝の後、在日大韓基督教会大垣教会牧師である李根秀(イ・グンス)先生が、「キリストと共に働く-在日コリアン(外国人)の人権と宣教協約-」という題で講演してくださいました。大きな項目としては「Ⅰ.在日コリアン(外国人)に対する差別」として、法的、政治的、社会的差別がなされてきたこと、「Ⅱ.ヘイト・スピーチについて」、「Ⅲ.宣教協約とは?」という内容でお話しくださいました。このように書きますと難しい公園を聞いたように思われるかもしれませんが、李先生はこれらの重要なテーマについて、時折ユーモアを交えながら大変わかりやすく話してくださいました。午後の分団協議でも、多くの参加者の方は「李先生の講演がよかった」と感謝しておられました。李先生もそうですが、在日「コリアン」の多くの方たちは、特別在留資格を持つ「外国人」です。しかし、在日一世は「日本人」でした。戦前に日本が韓国を併合(植民地化)したために、国策によって二百万人を超える人たちが日本にやってきました。そして「日本人」として働き、日本兵として戦地で戦ったのです。しかし、敗戦時に「当分の間日本人と見なす」(外国人登録法)と定めたものの、1952年のサンフランシスコ講和条約発効に伴って、それまでの日本国籍がはく奪されました。しかし既に生活の基盤のできている日本から、簡単に帰国することもできません。そこで1965年大韓民国と結ばれた日韓基本条約に基づいて、韓国籍を希望する人に協定永住権が認められ、後に朝鮮籍の人にも広げられました。しかし、日本に永住する同じ市民でありながら、納税の義務はあっても国籍条項のために選挙権はありません。国民年金の加入を認められたのも最近のことです。また民族差別を恐れて通名(日本名)で生活している人たちも多くあります。ところが、ヘイト・スピーチを中心となって進めている在特会(在日特権を許さない会)は、今述べた特別在留資格や通名使用、年金受給を特権だと言って、激しく攻撃し続けているのです。こうした事実は深い関心や共感なくしては読み解くことはできません。でも、その労を惜しまないことが愛なのです。
2016年7月